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train -inbound-


ー私の想いを乗せて

2時間の通勤時間は、私にとって貴重な自由時間だ。
友達とメールしたり、本を読んだり、時には勉強したり。
初めは大変だと思っていたけど、今ではすっかり慣れてしまった。
もちろん、慣れてしまったというだけで、大変な事に変わりはないんだけど。
それでも、辛いと思ったことは一度もない。
それは、嘘偽りない本心だ。

「私も、少しは成長できてるって事なのかな?」

あまり実感はないけれど。
それでも、ここまで来れたのだから、私も少しは自信を持ってもいいのかもしれない。

活動をはじめてから、もうすぐ1年がたとうとしていた。

あっという間だった、と思う。

右も左もわからない状態からスタートして、ひとつひとつ仕事を覚えて
レッスンして、オーディションを受けて。
はじめて合格した時の嬉しさとか、不合格になった時のくやしさとか
ライブでの熱気、みんなの声援、煌めくステージ
そのひとつひとつを今でも、はっきりと思い出せる。

決して楽な道ではなかった。

何度も転んで、何度も立ち止まりそうになった。

それでも、こうしてここまで歩いて来られたのは、いつも側にプロデューサーさんがいてくれて
私を励まして、手を引っ張ってくれたからだ。

ー時々、本当は全部夢なんじゃないかって思う事もあるけど

その時、感じた想いは絶対に夢なんかじゃない。

だから、だからこそ、私は……。



携帯が震えた。

どうやらメールが届いたらしい。
送信者は

「プロデューサーさんっ!」

プロデューサーさんとは、よくメールのやりとりをしている。
で、でもそれは個人的なお付き合いがあるとかそういうわけではなくて、
社長曰く
『アイドルとプロデューサーの信頼関係を構築して円滑なコミュニケーションを進めるため』
とかなんとか。

だから、仕事以外でも日々の生活の中で起こった事についてメールしたりしている。
もっとも、ほとんど私が一方的に喋ってるだけなんだけど。

プロデューサーさんのメールは、いかにも男の人が書いたって感じの絵文字も何も入ってないシンプルなメールで、
文章も素っ気ない。
でも、これは私の事なんてどうでもいいと思われてるとかでは決してなくて(たぶん)、プロデューサーさんは不器用な人なのだ。
これは、この1年で学んだ事のうちのひとつ。

メールの内容は、次のオーディションについてだった。

”SUPER IDOL”

アイドルを目指すものなら、誰もが夢見る真のトップアイドルだけが立てる場所。

そのオーディションを受ける。
もし合格すれば、私はAランクになる。
そのために、これからしばらく特別スケジュールになる、という事らしい。

「よしっ!」

私はちいさく気合いを入れる。
まずは、目の前のオーディションだ。

一歩一歩あせらずマイペースで。

それが、今までの私たちの歩き方だったのだから。
それは、これからもきっと変わらない。

アナウンスが駅へと着く事を知らせる。
今日もまた1日が始まる。

「行ってきます」

自分自身にそう告げて、私は一歩を踏み出した。
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